moncraのブログ

言ったこと、したこと、思ったこと。

片付けられてしまう喪失感

今となってはもうどうでもいいことなのだが、こんなことがあった。

 

子供の頃、自室こそあったものの掃除や片付けというものと無縁であった。

とはいえ、もともと物が少ない部屋だったので、足の踏み場もないほど散らかっているということはなく、目につくのは机の上のいくつかの本、ベッド周辺のゲーム機程度である。

だから「掃除は自分でするから」と親に何度も言ってきたのだが、私が学校へ行っている間に部屋の掃除がされていることが多かった。

むしろそれはありがたいことのうちにいれておくべきことだろうと思う。

しかし、掃除だけではなく片付けまでされてしまうのです。

次の日に使う予定だった道具がどこかに消えている。明日もやる予定だったゲームがラックの中に入っている。なんてことは日常茶飯事だった。

 

だから「片付けは自分でするから」と親に何度も言ってきたのだが、私が学校へ行っている間に部屋の片付けがされていることが多かった。

 

ある日、美術の課題を机の上に置きっぱなしにしていた。置きっぱなしにしているには訳がある。絵の具を乾かさなければならないからである。

 

私が学校から帰ってくると、置いていたはずの課題がなくなっている。

カバンの中も、机の中も、探したけれど見つからない。

向かいのホーム、路地裏の窓、こんなところにあるはずもないのに。

明日提出の課題が部屋から消えている。

 

「なぁ、机の上のやつどこやったん?」

私が母に聞く。

「あぁ、ゴミが多かったから片付けといたよ。」

母が私に言う。

「机の上のやつは?」

私が母に聞く。

「知らんで。ゴミは捨てといた。」

母が私に言う。

「もういいわ。本当にもう片付けんといて。」

私が母に言う。

「なによ。せっかく片付けてあげてんのにありがとうも言えへんの?」

母が私に言う。

 

・・・きっとゴミと一緒に捨てられてしまったんだろう。

美術の課題の絵。

たしかに私には絵心はない。でもちゃんとした紙に描いて机の上に置いていたのだ。ゴミ箱に入れていたならまだしも。

 

次の日、美術の課題提出はできなかった。