どうでもよくないとは思うが、どうでもいいことにしてしまいたい。
大学3年次あたりからはじまるであろう就職活動をするのがとてつもなく嫌だった。
合同企業説明会のような所に行くのも嫌だったし、いわゆる「一般企業」と呼ばれるようなところに就職したくはなかった。
自分はそんな社会の枠組みの中に居たくはなかった。
企業説明会にこぞって参加している学生を蔑み、批判し、馬鹿にしていた。
周りがやってるからとその流れの中に自らを置き、
社会の枠の中に行儀よくおさまろうとしている奴らを批判していた。
お前らは大学にまで来て、そんなことがやりたいのか。という具合に
蔑み、批判し、馬鹿にしていた。
でも真実は違う。
自分には夢なんかなかった。
「就職」というイベントから逃げたかった。
他者を批判することによって、自らの居場所を確立させたかっただけなのだろう。
ただの強がりだった。
でも、ただの強がりということを周りに認識されたくはなかった。
思い起こせば何かがやりたくて大学に進学したわけでもない。
大学附属の一貫校に通っていただけであり、
附属の大学に進学するのが当たり前なだけだった。
何かが学びたかったからその学部を選んだわけでもない。
いつものように「なるようになる」という精神性なだけだった。
そんな夢も目標も持たない私が「せっかく大学に来たのだから何か資格を」という感覚で履修していたのが教員免許だった。
小さい頃から教員になりたかったわけではない。
世話になった先生はいるが、そんなものは誰にでもいるもので、
「あの先生のようになりたい」なんて思ったことなどはなかった。
ただぼんやりとしたものだった。
そんな低い志だったとしても、続けていればやりがいは出てくる。
だから、血反吐を吐く思いで教育実習もこなした。
でも、大学卒業をしてすぐに教員をするつもりはなかった。
採用試験も受けていない。
「就職なんてしたくない」「企業で働きたくない」「すぐに教員も・・・」
そんな私が選択したのは大学院への進学だった。
修士課程に進学したら、少なくともあと二年は将来について考える時間が取れる。かつ、教員免許もグレードアップさせることができる。
いつものように「なるようになる」という精神性なだけだった。(つづく)