今となってはもうどうでもいいことだと思うのだが、こんなことがあった。
私は循環器に疾患を抱えており、走ることができない。
正確に言えば、走ることはできるが持久力がない。
また、脈拍をあげることができない。
だから小さな時から走ることをほとんどしたことがない。
走るのはとても遅かった。
6年生。最後の運動会。
クラス全員が出場するクラスリレーに出たかった。
一人一周のバトンリレーで、私は半周だけになった。
クラスで話し合ってそう決めた。
私は半周走って、次のイヨン君にバトンを渡す。
そういう約束だった。
当日、オデコちゃんからバトンをもらった。
必死で走った。
たった半周だけなのにうしろからどんどん追い上げられて
追い抜かれそうになった。
それくらいのタイミングでイヨン君にバトンが渡った。
イヨン君は走るのがとても速かった。
みるみるうちにスピードを上げて、後ろの人との差を広げ、
一周半走った。
自分のクラスが何位だったかなんて覚えていない。
最後にみんなと走れて幸せだった。
リレーが終わった時、私を抜かそうとしていた子に
「君の代わりに走った人、すごく速かったね」と言われた。
嫌味だったんだろう。逆の立場だったら腹が立つのは理解できる。
勝てたレースで負けたから。
それでも私は最後にみんなと走れて幸せだった。
その日の連絡帳に「走れてよかった。クラスが勝ててよかった」と書いた。
次の日、担任から赤ペンで「あれでよかったのかなぁ。」とコメントがついていた。
そのときからだろうか。
私が走ればみんなが嫌な気持ちになると分かり始めたのは。