今となってはもうどうでもいいことなのだが、こんなことがあった。
社会の時間だったろうか、歴史を調べて一人一枚新聞風の記事を作るという授業があった。その時間はみんな一生懸命作っていた。
次の時間は体育だった。
わたしは体が弱かったため、体育は見学の毎日だった。
体育の見学といえば、当然皆と同じ様に着替えてグラウンドで見学というのがお約束だと思うのだが、わたしの場合、着替えずに教室で待機だった。
もちろん監督の教員もいない。
今から考えるととんでもないことだとは思うが、当時はそれが普通だった。
いつものようにわたしは教室で待機。
まださっきの時間の新聞記事が完成していなかったから、その作業をすすめていた。
体育の次は給食があって、昼休み。
その昼休みの終わり頃だったろうか、クラスメイトのヒラヒラくんとハトポッポくんがわたしのところにやってきて、なにやらどなりはじめた。
どうも、彼らが作った新聞に靴跡がついており、その犯人がわたしだというのだ。
「体育の授業中に俺たちのを踏んだにちがいない」という。
わたしは彼らの家に遊びに行ったりする仲ではあったが、
彼らはわたしをいじめたりもした。
たしかに彼らに対する日頃の恨みはあったが、わたしは影で隠れて復讐をするような性格ではない。
いくら「やってない」と言ったところで、わたしの主張は彼らに受け入れられることはなかった。
ヒラヒラくんが「ここに上履きの跡があるだろ」と私に詰め寄ってきたとき、
ふとしたことに気がついた。
わたしの履いている上履きの靴底模様とは明らかに異なる跡がついていた。
それを確認したヒラヒラくんは「そうか、もんきちではないのか」と引き下がっていった。
一方でハトポッポくんの新聞にはわたしの上履きの靴底模様とよく似た跡がついていた。
断じてわたしではない。
大きな声でわたしは彼からなじられた。
彼の新聞を踏んだ奴がこの教室の中にいるのに、わたしは犯人にされた。
わたしは最後まで認めなかったが、彼の中でわたしは犯人になった。