今となってはどうでもいいことなのだが、あの日見たビデオは当時の私にとって大事件だった。
公園の植え込みに落ちている雑誌の一部から得られる情報で、それなりの知識は持っていた。
しかし、今目にしたのは動画なのだ。モザイクもない。
次の日、学校でクダル君だけに話した。
でも、あれよあれよという間に話は広がっていき、
「今日、もんきちの家に集まってみんなで見ようぜ」
そうなるのは、当然の流れだったろう。
鍵っ子であった私は、親の目など気にせずにすむので、家に集まっていかがわしいビデオをみんなで見ることくらい、造作もないことだった。
友だちが増えたみたいで嬉しかった。
ただ、驚いたのは一度も話をしたことがない他のクラスの奴らまで
家に来たことだった。
普段から口数少ない、おとなしいもんきちがエロビデオを持っている。
「そうか、君はそういうやつなのか」という目を女子から向けられた
少年の日の思い出である。