moncraのブログ

言ったこと、したこと、思ったこと。

嫌われ者

今となってはどうでもいいことだが、宿泊を伴う行事の引率をしていたときだった。

夕食のために食事会場に数百人を集め、座らせなければならなかった。

こういうときの食事はバイキング形式と決まっている。

食事の後のスケジュールのこともあるので、迅速に生徒たちを着席させなければならなかったため、もともとが丁寧体で話をするキャラクターだった私は、

マイクを片手に

「各班ごとに席についてくださいね」

「全員がテーブルに座って挨拶してから取りにいっていただくので」

など、アナウンスをしていた。

 

日頃からの賜物だ。5分もしないうちに生徒たちは着席し、

スムーズな食事が可能となった。

 

私が教員席に戻ると、「もんきち君、ちょっとこっちへきなさい」と

引率団の一人である教頭が私を呼んだ。

 

「あのね、君ね、生徒に対して『いただく』とか『ください』とかの言葉遣いはだめなんだよ。そんなんだからね、君はね、ダメなんだよ」

 

と言われた。

 

私の何がダメなのかはわからない。むしろスムーズに着席したじゃないか。

 

そう思いながら、自分の意見をはっきりと伝えることが苦手な私は

「はぁ」とだけ返事をして自席へと戻った。

 

 

食事時間が終わり、明日のスケジュールを全員で確認する時間が来た。

別の教員がマイクを片手に

「ではしおりの○○ページをひらいてください」

「明日の集合は○○時にこの会場に班ごとに来ていただきます」

と、説明をしていた。

 

それを聞きながら私は「あー、あの人も呼ばれて怒られてしまうなぁ」と思っていた。

 

一通り説明が終わり、その教員が戻ってきても教頭に呼ばれることはなかった。

教頭は「いや、なかなかにわかりやすく整理された説明だったね」みたいなことを他の教員と話していた。

 

 

その日以降、私が教頭の指示に従うことはなかった。